皆さん! こんにちは 補聴器ソムリエの洞です。
今日は難聴の中で最も患者数の多い「加齢難聴」についてお話しいたしましょう。 年とともに聞こえにくくなっていく「加齢難聴」の主だった症状を以前ご紹介しましたが、もう一度ご説明します。 今、このブログを見ていただいている聴こえに不自由をお持ちの皆さん! この中に思い当る症状はありませんか?
これらの中で3つ以上当てはまれば「加齢難聴」だと思ってください。 治る可能性は非常に低いと言われています。 「加齢難聴」の特徴をご理解いただくために、各年代別の平均聴力を見てみましょう。
何と80歳の平均聴力は補聴器が必要とされる軽度難聴者なんですね。 このように年齢とともに高い音から聞こえにくくなってきます。 低い音はよく聞こえています。
ここで言う“高い音”とは玄関の呼び鈴や、電化製品のお知らせアラーム音のことだと思ってください。
この内耳の中の有毛細胞が「加齢難聴」になりますと、こうなります。
このように年を重ねるにつれ「有毛細胞」が抜けてしまうのです。
残念ながらその通りです。 しかも頭の毛ならば薬を使ったり叩いたりすれば、また生えてくることがあるかも知れませんが、「有毛細胞」は一度抜けたら二度と生えてくることはないのです。
しかも抜けるのは内耳の入口付近(高い音を聞き取る場所)の有毛細胞で奥の方(低い音を聞き取る場所)の有毛細胞はあまり抜けません。
これは家の中で一番汚れる場所は人の出入りの激しい玄関で、奥の部屋の押入れの中はあまり汚れないのと同じことで、音の出入りの激しい出入り口が一番有毛細胞の消耗が激しく、奥の方はあまり消耗しないからなのです。 下のオージオグラムを見てください。 有毛細胞の抜け方が、そのまま各年代別の平均聴力と一致しています。
その結果、年とともに高い音から聞こえなくなっていきます。
そうです。 有毛細胞を使い過ぎて抜けてしまうのが「加齢難聴」です。
それもゆっくり時間を掛けて徐々に抜けていきますから、長期間に渡って徐々に聞こえが悪くなっていきます。 さらに右耳も左耳も、長年ほぼ同じ音を聞いて生活してきましたから、有毛細胞の抜け方も似通ってきますので、左右の難聴の程度にほとんど差がありません。
それは高い音が聞こえなくなってしまったからです。 たとえば話し相手がこんな言葉を言ったとします。
この言葉の高い音の成分だけを取り除いて聞くと、ちょうど手で口を覆い隠してしゃべったのと同じ様に聞こえます。 聞いてみましょう。
このように高い音の成分を除くと言葉はハッキリしなくなります。 なので加齢難聴の方は「あの人は何か言っているのは分かるが、何を言っているのかが分からない」とおっしゃる方が多いのです。 このブログをご覧の皆さま。 ご家族みんなで、手で口を覆い隠して会話をしてみてください。 あなた方のおじいさんやおばあさんがどんな風に聞こえているのか、どんな風に不自由を感じているのかが少しだけ理解していただけると思います。
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