皆さん! こんにちは 補聴器ソムリエの洞です。
長い間補聴器に携わっていますと、よくこんな質問を受けることがあります。
私が思いますに一般には“出来るだけ我慢した方がいい”とお考えの方のほうが多くいらっしゃるように感じます。 その理由を尋ねてみますと・・・
一理あるように聞こえますが本当にそうなんでしょうか? 下の表を見てください。 これは両耳難聴の人が補聴器を片耳だけにしたら12年後に補聴器をつけた耳、つけていない耳、それぞれの限界能力がどう変化したかを表しています。
両耳の限界能力が80%の人が片耳だけに補聴器をつけると12年後に補聴器をつけた方の耳が85%に上昇、つけていない方の耳が40%に下降しています。 もっと分かりやすく噛み砕いて解説いたしましょう- ある難聴者の方の両耳の限界能力を調べると両耳とも20問中4問づつ間違えました。
ここでこの方は右耳だけに補聴器をつけました。
そして12年の時が流れ、補聴器を外して久しぶりに限界能力を調べてみました。 その結果補聴器をつけていた右耳は20問中3問の間違いに留まりましたが、つけていない左耳は20問中12問も間違えてしまいました。
12年の間に運動の足りている健康な耳と運動不足の不健康な耳が出来てしまったのです。
ここまで左耳が低下しますと、この方も・・・
と考えられるようになりましたが・・・
左耳は「第3段階」まで進んでいますので、結果 左耳への補聴器装着はあきらめて、今後右耳一本でいくことになりました。 -ということを先の折れ線グラフは表しています。
ここで皆さんにお伝えしたいのは一度加齢による難聴になってしまいますと、時間の経過とともに老化が進むのと同じように難聴も進んで限界能力が低下していきます。 しかし補聴器をつけますと難聴が治ることはありませんが(若返りが出来なのと同じ)、そこで止めることが出来ます。 (ただし病気・薬の副作用・突発性難聴などの外的要因を除く)
これは難聴になる前の話です。 これがしっかり出来ていれば そもそも難聴にならずにすんだかも知れません。 しかし、一度難聴になってしまったのなら出来るだけ早く補聴器に頼って、そこで難聴の進行(限界能力の低下)を止めましょう。
おそらく皆さんは「聞こえなくなった音声が聞こえるようになること」とお考えだと思いますが、実は本当の目的は「難聴の進行を止めること」です。
早く始めれば早い段階で止まります。
遅く始めればそこで止まりますが、それまでの期間失われた限界能力は二度とよみがえることはありません。
補聴器をつける本当の目的をしっかりとご理解いただいたうえで「早期発見、早期対処」に努めていただくことをお願いいたします。 実際、私たち認定補聴器技能者が最も恐れる患者さんは、こんな方です。
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