皆さん! こんにちは 補聴器ソムリエの洞です。
前回は難聴が原因で「コミュニケーション障害」を引き起こしてしまい、その「コミュニケーション障害」は配偶者にも伝染してしまう。 というお話しをいたしました。
そうお考えの方が非常に多くいらっしゃいます。 大変恐縮ですが、ここで耳の不自由な方に、耳の痛いお話しをしなければなりません。 2015年1月に厚生労働省からある報告が発表されました。 それは「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)」と呼ばれる認知症対策強化に向けた国家戦略です。
この「新オレンジプラン」の中で“難聴が認知症の発症要因のひとつ”と報告されました。
「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)」本文はこちら
またアメリカの政府機関である米国立老化研究所(NIA)から次のような調査報告が発表されました。 認知症の検査をして認知症状の見られなかった39歳から90歳までの男女639名を対象に聴力検査を行い「健聴者」「軽度難聴」「中度難聴」「高度難聴」の4つのグループに分けました。
そして12年の後、再び全員の認知症検査を行い、各グループ毎の認知症の発症率を比べてみますと・・・
「健聴者」グループに比べて「軽度難聴」が2倍、「中度難聴」が3倍、「高度難聴」が5倍の発症率だったと報告されており、難聴が進むにつれて認知症リスクが高くなることが示されました。
難聴が認知症の直接の発症原因ではありません。 難聴は単なる“引き金”に過ぎません。
このように「難聴」が「コミュニケーション障害」を発生させ「認知症」に繋がるというメカニズムです。 要するに「コミュニケーション障害」は認知症発症の最大要因のひとつなんです。
コミュニケーションの不足の原因は“口下手”、“一人暮らし”など様々な因子が考えられますが、“難聴”はその方の事情に関わらず強制的にコミュニケーションの減少を招きます。 最も厄介な因子と言えるでしょう。 ある医療機関で認知症患者を集めて、認知症以外でどんな病気(合併老年症候群)を患っているか調べたところ、なんと1位は“難聴”で、全体の約4割の方が難聴者だったそうです。
もし皆さんのお近くに認知症を患っておられる方がいらっしゃいましたら思い浮かべてみて下さい。 次のどれかに当てはまりませんか?
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