皆さん! こんにちは 補聴器ソムリエの洞です。
今回もまた私の経験上のお話しをさせてください。 補聴器を初めて装着されて1年ほど経過された方に、こんな不思議な現象がみられます。
と、おっしゃる方があります。 かと思えば・・・
と、おっしゃる方もあります。 まったく逆の反応です。 その場で聴力を調べてみますと、どちらの方も1年前と比べて、ほとんど変わっていません。 これは一体どういうことなのでしょうか? 皆さんお分かりですか? ただし条件として、この方々は、たとえ短い時間であったとしても毎日補聴器を使用されていた人達です。 では、まずは「耳が良くなった!」と感じた方のお話しを聞いてみることにしましょう。
20年前、私の聞こえは正常でした。 色々な声や音がしっかり聞こえていて、それらを問題なく理解出来ていました。 すなわち・・・
“内耳”-“聴神経”-“脳”のラインが元気にフル稼働してくれていたということです。 当時はそれが当たり前だと思っていました。 ただ10年くらい経った頃からでしょうか。 少しづつ聞こえにくくなってきました。
難聴の始まりです。 色々な声や音が聞こえにくくなります。 すなわち耳から入って“内耳”-“聴神経”-“脳”のラインに届く音情報の総量が減ってしまうということになります。 当然のことながら・・・
“内耳”も“聴神経”も“脳”も仕事が回ってきませんから、あまり稼働せず怠けてしまいます。 こんな状態が何年も続いてしまいました。 時間の経過とともに、ますます聞き取りにくくなっていきます。
かなり不自由が続いたので、1年前に補聴器を始めました。 正直抵抗はありましたが、家族のすすめもあり、思い切って始めてみることにしました。 でも初めは補聴器に期待したほどの効果は感じられませんでした。
“内耳”も“聴神経”も“脳”も10年近く寝たきり状態だったのでかなり弱っていたようです。 補聴器を付けるのもギリギリ間に合ったくらいで、もう少し遅かったらアウトだったかも知れません。 そんな状態ですから急に補聴器を付けたからと言って“内耳”-“聴神経”-“脳”がフル稼働するはずもありません。 ですから「効果が無いな!」と思いつつも店長さんから・・・
騙されたと思って店長さんの言う通りにしてみることにしました。 すると半年くらい経ったころでしょうか・・・
初めて補聴器の効果を実感した瞬間です。 正直それまでは不安でしたが、初めて報われたと思いました。 これは・・・
寝たきり状態だった“内耳”-“聴神経”-“脳”のラインが少しづつ稼働し始めたということのようです。 最近では今まで気になっていた食器などの高い音も気にならなくなってきて、とても重宝しています。 そんな時ふと気付いたんです。
難聴が治ったかも知れないと期待に胸を膨らませて店長さんを尋ねました。 あらためて耳を調べてもらいました。 その結果分かったことは、1年前と何も変わっていないことでした。 もう一つ分かったことは「言葉が分かった!」と感じたのは補聴器を外した直後だけで、そのまま補聴器をつけず30分~1時間経過すると徐々に言葉が分からなくなっていき元の状態に戻ってしまうということです。 店長さんに伺いますと・・・
だそうです。 期待していた分、少しショックでした。 でもナゼこんなことが起こるのでしょうか? 補聴器に慣れてきますと・・・
“内耳”-“聴神経”-“脳”のラインが昔のようにフル稼働するようになります。 これは耳と脳の健康のために非常に良い現象です。 ここで突然補聴器を外しますと・・・
自動車が急に止まれないのと同じように、しばらくフル稼働が続きます。 そのため補聴器を外しているのに聞こえたような錯覚が起こるんです。 ですが、このまま30分ほど経過しますと・・・
徐々にフル稼働しなくなり、元の難聴の状態に戻ってしまいます。 また補聴器をつけるとフル稼働が始まります。 補聴器をつける行為が、耳だけでなく脳も含めて、いかに影響を及ぼしているのかということが垣間見れた現象でした。 あの時店長さんが・・・
と言った理由が今になってやっと分かった気がします。
補聴器に慣れてくると耳が良くなったように感じる方がいらっしゃる理由がご理解いただけましたか? 次回は全く逆の反応「補聴器をつけて耳が悪くなった!」と感じた方のお話しをお伺いしてみましょう。
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