皆さん! こんにちは 補聴器ソムリエの洞です。
今回も補聴器の値段についてお話ししましょう。 補聴器を始めようとされる方で、補聴器のランクを選ぶ時、こうおっしゃる方がよくあります。
ですが私の以前の経験で、補聴器歴数十年の、安価な補聴器から高価な補聴器まで色々経験を積んでこられたベテラン使用者の方とお話しした時、こんな質問をさせていただいたことがあります。
とお伺いしますと、こうお答えになりました。
どうやら値段の違いによって“言葉の聞き取り”に差を感じられたようです。
いいえ! 決してそうとばかりは言えません。 それはその方が難聴を発症してスグ補聴器を始めたか、しばらく時間が経過して始めたかに寄ります。
そうです。 ここで分かりやすい例を挙げて解説いたしましょう。 まずここに聴こえの正常な人がいたとします。 難聴ではありませんから話し掛けられた言葉がハッキリ聞き取れます。
では、この人に難聴になった状態を仮に体験していただきます。 耳に耳センをしていただきます。
耳センをしていますから、話し掛けられた言葉がハッキリ聞き取れません。 まさに難聴状態です。 では難聴になって間もない人が早々と補聴器を着けたとした状態を仮に体験して頂きます。 耳センを外していただきます。
難聴になってスグ(初期難聴)に補聴器を着けた状態です。 以前と変わらず話し掛けられた言葉がハッキリ聞き取れます。 この状態では安価な補聴器で充分に効果が出ます。 高価な補聴器をしても特に効果に差が出ません。 差が無いのであれば安価な補聴器で充分です。 しかしここで補聴器を始めなかったとします。 もう一度耳センを着けて、そのまま生活を続けてもらいます。
再び難聴状態です。 お風呂へ入る時も、寝る時も、常に耳センを外しません。 そのまま5年の歳月が流れました。
皆さん! 想像してみてください。 5年間も耳センを着け続けた耳は、一体どうなっているのでしょうか? 5年ぶりに耳センを外してみましょう。
何も聞こえません! 長い間、耳を使わなかったので難聴になってしまいました。 しかも5年経過しているので中期の難聴です。 ここで本物の補聴器を着けてみましょう。 まず安価な補聴器を着けてみます。
声は聞こえるようにはなりましたが、内容がハッキリ分かりません。 続いて中価格補聴器を着けてみます。
何とか勘を働かせればギリギリ内容が分かる程度です。 最後に高価格補聴器を着けてみます。
言葉が理解できるようになりました。 先程ご紹介いたしましたこの方も・・・
どうやら中期難聴者だったようです。 この中期難聴の状態では補聴器の価格が明暗を分けることになります。
お気持ちはわかりますが、もしあなたが難聴発症から時間の経過した中期難聴者で、しかも聴こえるようになることをお望みならば、大変申し訳ありませんが、中価格以上の補聴器をお薦めせざるを得ません。
しかし、ここでもまだ補聴器を始めなかったとします。 補聴器を外して、もう一度耳センを着けていただきます。 さらに5年(トータルで10年)が経過しました。
ここで耳センを外してみましょう。 耳はどんなことになっているのでしょうか?
何も聞こえません。 少し認知症状も見られるようです。 ここで補聴器を着けてみましょう。 まずは安価な補聴器から・・・
言葉が分かりません。 続いて中価格補聴器・・・
これも言葉が分かりません。 最後に高価格補聴器・・・
やはり言葉が分かりません。 価格が安いとか高いとかの問題ではなく、残念ながら補聴器そのものがお役に立たない状態になってしまいました。
この最も多く受ける質問の、最も適格なお答えは、もし、あなたが・・・
あなたが少しでも聴こえに不自由を感じたのなら、早めの補聴器をおススメします。 “コスト”も“リスク”も軽減できます。
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